大阪高等裁判所 昭和42年(う)176号 判決
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〔判決理由〕弁護人は、本件のように必要的共犯(対向犯)の一方が氏名不詳者である場合には、相手方の供述がないから結局被告人の自白以外に犯罪事実を認める資料がないことに帰するので刑事訴訟法第三一九条第二項により被告人を有罪とすることはできない、と主張するが、本件において被告人らの相手方となつて勝者投票類似行為をなした者のうち氏名不詳者については原判決挙示のとおり被告人らの自白<証拠>のほか、押収にかかる競輪メモ一枚(証第一号)、同二枚(証第二号)、現金一万三〇〇円(証第三号)、同二万一、〇〇〇円(証第四号)、同一、八〇〇円(証第五号)があり、これらの補強証拠特に右競輪メモ三枚(証第一、二号)によつて被告人らの自白の真実性が十分担保されていると認められるから、原判決が氏名不詳者を相手方とする分についても犯罪事実を認めたことに刑事訴訟法第三一九条第二項に違背する廉はない。なお、弁護人は原判決が被告人らの本件犯行を包括一罪と認めたのは誤りである、と主張するが、自転車競技法第一八条二号は「競輪に関して勝者投票類似の行為をさせて財産上の利益を図つた者」を処罰する規定であつて、その性質上多数の行為が反覆されることを当然予想した規定と解せられるから、いやしくも同一意思の発動としてなされたものである限り、相手方を異にする数個の行為であつてもこれを包括的に一個の犯罪として処断すべきものである。されば原判決が被告人らの本件犯行を包括一罪として処断したことに何ら法令適用の誤りはない。(江上芳雄 木本繁 山田忠治)